2011年10月16日日曜日

所沢の中心地で目撃した、倒木と正常性バイアス


約一ヶ月前の話だが、多くの被害があった、台風15号で体験したこと。
所沢でもメディアで取り上げられるような大きな被害は無かったが、停電などいろいろあったようだ。
実際に目撃したのが、東京電力所沢営業センター前の道路の倒木と、そこで起こった正常性バイアスだった。

9月21日は、車でさいたま市から所沢へ車で帰ってきていた。
最初のうちは特に危機感もなかったが、次第に雨も風も強くなってきた。

そのうち道路に木の枝やボロボロの傘などの落下物が目立つようになってきた。
道路のあちこちに水がたまっており、車に浸水しないか不安になってきた。
道路が完全に冠水し、車が動けなくなってしまう状態だけは避けたいと思いつつ車を走らせた。

所沢警察署前を右折し、次の交差点まできた。
ちょうどその時、赤信号になり車を止める。

信号が青に変わり左折する。前に車の姿は無かった。
対向車線で信号待ちをしている、バイクに乗った雨がっぱを着たおじさんが必死に手振りで何か訴えている。
あまりに必死な感じだったので、つい手を上げて合図してしまったが、わけがわからない。

この付近は、商業地域である所沢駅周辺から離れているが、市役所やその他の機関がある所沢の中心地だ。
そこで立ち往生してしまうようなことはないだろうと思い込んでいた。(渋谷で木が倒れたニュースを聞いたのは帰宅後)
そのため訴えている意味がまったくわからなかった。

しばらくそのまま走行し、それがわかった。
道路をふさぐように木が倒れて、完全に通行できない状態だった。

はっきりと確認できたのが、倒木の手前、約200m~100mの間だったと思う。
少しパニックになりながら、ハザードランプをつけて車を道路脇に寄せて止めた。

すると次々と後ろから来た車が倒木へ走っていく。
明らかに通行できない状態であることは、見ればすぐにわかるはずなのだが。

一台や二台ではなく、多くの車が倒木へ向かって走っていく。
何台か途中で脇に寄せて止めるのではないかと思ったが、全ての車が前の車についていってそのまま走っていく。

結局、先頭の車は倒木の直前で止まり、Uターンした。すると後続の車も同じようにUターンして走り去っていった。
やがて車が途切れ、いなくなったころを見計らって、倒木のそばまで行ってみた。
もしかしたら遠くから見えなかった何かがあるのかもしれないと思ったからだ。

しかし、やっぱり木が倒れて、通行ができないことを確認しただけだった。そのままUターンし、無事帰った。

この倒木へ向かっていく多くの車は、いわゆる正常性バイアスで、他の車が行くから行けると思ったのだろうか?
もし前に車があり同じように走っていたら、同じ行動をしてしまったのではないかと考えてしまった。

もっともこれは、単に木が倒れているだけで、そばまで行ったところで何の被害も受けない。
すり抜けて通れないか一応確認してUターンしようとか、どういう状態なのか見たいという好奇心などの理由も考えられるので、正常性バイアスではないかもしれない。

ただ、倒木が見え、明らかに通行できないと判断すれば、すぐに車を止めUターンするのが合理的であるはずなのに、それが一台も無いというのが不思議だった。

数日後、再び倒木のあった場所を通ったが、きれいに片付けられ、何事も無かったかのようになっていた。


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